オーストラリア年度末の所得税申告



タックス・リターン(TAX RETURN)をしよう!

タックス・リターンとは日本でいうところの所得税の確定申告です。対象者には学生ビザやワーキングホリデービザ滞在者も含まれます。「タックス・リターンをするとお金が戻ってくる!」という都合のいい話だけが蔓延しがちなタックス・リターンについてご案内します。
目次
  1. タックス・リターン(TAX RETURN)の概要
  2. タックス・リターン(TAX RETURN)について確認しよう!
  3. タックス・リターン(TAX RETURN)の手続き
  4. タックス・リファウンド(TAX REFUND)/ タックス・ペイメント(TAX PAYMENT)
  5. タックス・リターン(TAX RETURN)のトラブルを避けるために
  6. こんな時どうする?

タックス・リターン(TAX RETURN)の概要



オーストラリアの会計年度は7月1日から翌年の6月30日までです。この期間の収入や支出について所得税に関する申告を原則10月31日まで(登録税理士に依頼する場合は翌年の5月15日まで)に行わなくてはなりません。多くの場合、源泉徴収されていた税金の一部が戻ってくるので、税金の還付手続き(Tax Refund)と思われがちですが、「Return」とは税金が戻ってくるという意味ではなく、「申告をする」という意味なのです。

タックス・リターン(TAX RETURN)について確認しよう!


申告が必要な人

日本では、自分で確定申告をしなければならない人は限られていますが、オーストラリアではほとんどの人が自分でタックス・リターン(確定申告)などの手続きをする必要があります。自分がタックス・リターンを行うべきかどうかわからない場合は登録税理士に確認しましょう。

また、税率やタックス・リターンの条件は「税法上の居住者」「税法上の非居住者」「ワーキングホリデービザ滞在者」のどれに該当するかによって異なります。自分のステイタスが不明な場合も登録税理士に確認しましょう。国税局(ATO = Australian Tax Office)とのトラブルを避けるためにも、自己判断は禁物です。
会計年度中の収入 就労不可
(観光ビザなど)
就労可
(ワーキングホリデービザ)
就労可
(税法上の非居住者*3)
就労可
(税法上の居住者*3)
なし 不要 不要 Non-lodgement advice Non-lodgement advice
あり  ー 不要 / タックス・リターン *1 タックス・リターン タックス・リターン / Non-lodgement advice *2
*1:ワーキングホリデービザ保有者は、収入のすべてが給与収入且つA$45,001未満など一定の条件を満たす場合、タックス・リターンもNon-lodgement adviceも不要です。ただし、【雇用主がワーキングホリデーに関する登録をしていないため”非居住者の税率”で源泉徴収されており、”ワーキングホリデーの税率”に調整したい場合】や【税法上の居住者で居住者用の税率を適用する場合】などはタックス・リターンが必要となります。
*2: 収入のすべてが給与収入且つA$18,201未満で源泉徴収がA$0などの一定の条件を満たせばタックス・リターン不要の場合があります。ただし、その場合は「Non-lodgement advice」の提出が必要です。
*3: 税法上の居住者かどうかは、こちらのツールにてご確認ください。「Are you a resident decision tool


参考:ATOウェブサイト「Working holiday makers」「Do I need to lodge a tax return?
ワーキングホリデービザ滞在者
ワーキングホリデービザ滞在者の税法上のステイタスにかかわらず、所得税率はワーキングホリデー独自の税率表が適用されます。「雇用主がワーキングボリデー関連の登録をしておらず、非居住者の税率で源泉徴収されているため調整したい」「年収が$45,001を超えている」「給与収入以外の収入がある」など特別な場合を除いてはタックス・リターン及びNon-Lodgement Adviceは不要です。

雇用主がワーキングホリデーの人を雇用するための登録をしていない場合は、税法上の非居住者として所得税が引かれますので、手取りは少なくなりますが、この多く引かれてしまった分はタックス・リターンを行うことで調整することができます。

2021年12月17日に、日本を含むオーストラリアと租税条約を結んでいる国(a non-discrimination article (NDA) country)のワーキングホリデービザ保有者については、その他の条件が”居住者”に該当する場合、”居住者”の税率とする旨の発表がありました。しかし、2024年7月現在、下記の理由によりほとんどのワーキングホリデーメーカーは”税法上の居住者”には該当しません

2023年6月27日のATO(Australia Taxation Office: オーストラリア国税局)による発表の概要です。
  • ワーキングホリデービザでの労働はあくまでホリデーをサポートするためのものであり、主目的はホリデーである。つまり、生活のベースは母国にあり、オーストラリアに居住する目的ではないため、”税法上の居住者”にはあたらない。
  • 配偶者ビザや就労ビザのパスウエイとしてワーキングホリデービザを利用する場合は、オーストラリアに居住する意志が認められることから、”税法上の居住者”として扱う。
なお、”税法上の居住者”に該当する場合も、”ワーキングホリデーの税率”で源泉徴収され、タックス・リターンを行って税率を調整します。

参考:ATOウェブサイト「Australian residency if you’re on a working holiday or visit」「Taxation of Australian resident WHMs from NDA countries」「Australian resident for tax purposes
学生ビザ滞在者の場合
6ヶ月未満のコースを受講する学生ビザの方は「非居住者」、6ヶ月以上のコースを受講する学生ビザの方は「居住者」扱いとなります。

なお、源泉徴収(給与から予め差し引かれる所得税)は税率表通りの金額ではありません。Tax Return(確定申告)により税率表どおりの金額へ調整します。

また、会計年度内に収入がなかった方など申告の必要がない方ももNon-Lodgement Adviceという書類の提出が必要です。

税率 FY2023-2024

Taxable Income
(所得)
Resident tax rates
(居住者の税率)
Foreign resident tax rates
(非居住者の税率)
Working holiday maker tax rates
(ワーキングホリデーの税率)
0 – $18,200 非課税 32.5% 15%
$18,201 – $45,000 $18,200を超える金額に対して19% 32.5% 15%
$45,001 – $120,000 $5,902 + $45,000を超える金額に対して32.5% 32.5% $6,750 + $45,000を超える金額に対して32.5%
$120,001 – $180,000 $29,467 + $120,000を超える金額に対して37% $39,000 + $120,000を超える金額に対して37% $31,125 + $120,000を超える金額に対して37%
$180,001 and over $51,667 + $180,000を超える金額に対して45% $61,200 + $180,000を超える金額に対して45% $53,325 + $180,000を超える金額に対して45%
*ワーキングホリデービザ保有者かつ日本国籍の方で、”税法上の居住者”に該当場合は、”居住者の税率”が適用されます。ただし、源泉徴収は”ワーキングホリデーメーカーの税率”で行われ、タックス・リターンを行って”居住者の税率”へ調整します。

参考:ATOウェブサイト「Individual income tax rates」「Working holiday makers」「Taxation of Australian resident WHMs from NDA countries

タックス・リターン(TAX RETURN)の手続き


タックス・リターンには手続きは大きく分けて3つのパターンがあります。
  1. 手続き不要
  2. Non-lodgement Advice
  3. タックス・リターン

手続き不要

労働許可のない観光ビザの方、ワーキングホリデーで収入のすべてが給与収入且つA$45,001未満などの条件を満たす場合はタックス・リターンもNon-lodgement adviceも不要です。

Non-lodgement Advice

労働可能なビザ(学生ビザ含む)でも、一定の条件を満たす場合、タックス・リターンが不要となることがあります。その場合には、Non-lodgment adviceという書類をATOに提出し、タックス・リターンが不要な旨を確定させなければなりません。こちらはmyGovの他、書面でも簡単に提出できます。

Non-lodgment advice 2024(PDF)をダウンロードして必要事項を記入し、書式下部に記載されている住所へ送付します。国外からの場合は最寄りの都市は”SYDNEY NSW 2001”となります。

参考:ATOウェブサイト「Non-lodgment advice 2024

タックス・リターン

準備するもの
① Income Statement(インカム・ステイトメント)もしくはPAYG Payment Summary(ペイメント・サマリー)

Pay Slipではありません。雇用主がSingle Touch Payrollという方法で国税局に申告している場合、Income Statementという書類をオンラインで確認します。個人の場合はmyGOVから確認できます。myGOVを登録しない場合は国税局に電話して書類を送ってもらうことができます。7月14日までに各雇用主が登録することになっており、すでにmyGovに登録し、ATOとの紐付けが完了している方は、雇用主側の手続きが完了次第、”New myGov inbox message”というメールが送られてきます。受領したら、myGovにログインしてメッセージ及びIncome Statementを確認しましょう。

雇用主がSingle Touch Payrollを国税局への申告に利用していない場合、PAYG Payment Summaryという書類を直接雇用主から受領します。法律上、7月14日までに発行しなければならないことになっているので、この日を過ぎても受領していない場合は雇用主に問い合わせましょう。

登録税理士を通してタックス・リターンをする場合、登録税理士は専用のオンラインサービスから顧客の情報にアクセスすることができるため個人での確認は不要です。

② Tax File Number

③ 仕事に関連した経費の領収証

法律で差し引くことが認められた仕事に関する支出(Deductable Expense)がある場合は、領収証などをまとめておきまましょう。この支出の内容は業種によって細かく定められており、法律にそっていない場合には是正勧告の対象になり、罰金を課せられることもあります。国税局とのトラブルを避けるため、確実でない場合には登録税理士に相談しましょう。

④ その他の収入に関する書類

銀行利息など、その他申告を必要とする収入がある場合には、その書類も準備しましょう。

⑤ Medicare Entitlement Statement

“税法上の居住者”ではあってもMedicare(国民健康保険)の対象とならない学生ビザなどを保有する場合には、Medicare Levy(健康保険料)の免除を受けるためにMedicare Entitlement Statementが必要です。こちらはメールで申請書を提出し、承認確認の書類を郵送で受け取ります。

⑥ 銀行口座詳細
手続手段
申告の方法は大きく分けて下記の3つです。
  1. 登録税理士に依頼する
  2. オンラインで自分で手続する
  3. 書類作成サービスを利用する(申告期間中ショッピングセンター等に臨時ブースが登場します)
各雇用者や銀行など関係機関が所得税に関する情報を国税局に登録する期限が8月14日なので、8月末以降の申請が推奨されています。自分でオンラインで申告する、登録税理士 (Tax Agent)に依頼する の2つは、すでに日本へ帰国した方や交換留学などで第3国に滞在中の方などオーストラリア国外にいる方も手続き可能です。
方法 こんな人にオススメ メリット デメリット
登録税理士(Tax Agent)に依頼する
  • すでに帰国または近々帰国予定
  • タックス・リターンの手続きに不安がある
  • 給与及び銀行利息以外の収入がある
  • Deductable Expense(収入から差し引くことが認められた支出)がある
  • 英語力や専門用語の理解に自信がない
  • ABNを取得しシェアリングサービスなどに従事した
  • 通常の申告期限を過ぎている
  • myGovの登録やATOへのリンクが難しい / myGov登録しているけど開けない
  • Income Statementなどの必要書類が確認できない
  • 日本人税理士に依頼する場合は日本語での対応が可能
  • 申告に問題があった場合の対応がスムーズ
  • 申告期限が長い
  • 手数料がかかる(A$80-150程度)
オンラインで自分で申告する
  • 収入が給与・銀行利息のみである
  • 特に複雑な要因がない
  • 自分で対応できる&専門用語を理解する英語力がある
  • 手数料がかからない
  • 申告に問題があったが場合、自分で対応しなければならない
  • 英語での理解力が必要
書類作成サービス
  • 英語での日常会話は問題ない
  • 書類作成に自信がない
  • 手数料は登録税理士などに比べるとやや安価(A$20-60)
  • ほとんどの場合、英語での対応
  • 申告に問題が合った場合、自分で対応しなければならない。
源泉徴収された給与所得のみで差し引く経費がなく、ある程度英語で対応できる方はご自身でのオンライン申請が便利ですが、それ以外の方は国税局とのトラブルを避けるためにも登録税理士のご利用をお奨めしています。

 

オーストラリア留学センターではタックス・リターンのお手伝いはしておりません。タックス・リターンのオンライン申請の仕方などについてのお問い合わせには回答致しかねます。ご不明な点は、ATOもしくは登録税理士へご相談ください。



オンラインでタックス・リターンをする
myGovを利用して、オンラインでIncome Statementの確認、タックス・リターンや「Non-lodgement advice」の提出などを行う場合、myGov登録及びATO(Australian Taxation Office:国税局)との紐付けが必要です。myGovとは、オーストラリアの公的サービスのプラットフォームで、登録することで様々な公的サービスを一括して管理することができます。

1. myGovの登録

myGov登録方法 – わかりやすい説明(英語)
Step 4: Enter your mobileは海外にいてオーストラリアのSMSが使えない場合はSkip this stepをクリック。Secret questions を入力して登録を完了させます。その後、スマートフォンにmyGov Code Generatorアプリをインストールして自分のアカウントに紐付けすることで認証方法が変更されます。
Secret questionを認証方法としてmyGovを開くことはできますが、SMSかmyGove Code Generatorいずれかの認証方法を設定しないとATOへの紐付けができません。
myGov Code Generatorのセットアップ方法(英語)
Step 7: Set up a sign in back upは海外にいてオーストラリアのSMSが使えない場合は不要。

2. myGovアカウントにATOをリンク

myGovアカウントとATOのリンク方法 – 説明動画(英語)(1:40あたりから)
  • 本人確認のために指示された書類が準備できる場合⇒Questions Specific to you
  • 本人確認のために指示された書類が準備できない場合(過去にタックス・リターンをしたことがない等)⇒必ずUse a linking codeを選択し、ATO(オーストラリア国内からは13 28 61)に電話してlinking codeを確認して手続きを進めます(動画の2:00あたり)。
3-1. タックス・リターン

myGovにログインし、Australian Taxation Officeを開きます。”For action”の”Outstanding lodgments and payments”右横の”View”をクリックすると未申告のタックス・リターンが表示されるので、”Prepare”をクリックして手続きを行います。

タックス・リターンの方法 – 説明動画(英語)
  • myGovのアカウントを持っているが、認証方法をSMSにしたまま帰国しmyGovが開けないという方は新しく別のemailアドレスでアカウントを作成し直す必要があります。以前と同じemailアドレスを使いたい場合は、myGov helpdeskに電話してそのemailアドレスを解除してもらった後、アカウントを作成し直します。
  • 学生ビザなどで”税法上の居住者”となる場合にMedicare Levyの免除を受けるために必要なMedicare Entitlement Statementをメールで提出。承認確認の書類は郵送となりますが、オーストラリア国外への配達も可能なようです。
  • タックス・リターンで返戻金を受け取る場合は、オーストラリア国内の銀行口座もしくは小切手となります。本人名義以外の口座での受取はできません。
なお、永久帰国する場合は申告期限前でもタックス・リターンが可能です。こちらはペーパーベースの申告となりますが、忘れない内に手続きしておきたい方には便利かもしれません。海外からまたは永久帰国する場合のタックス・リターンに関する詳細はATOのウェブサイトにてご確認ください。

3-2. Non-lodgement Adviceを提出

myGovにログインし、Australian Taxation Officeを開きます。メニューからTaxを選択し、プルダウンメニューからLodgements、さらにNon-lodgement adviceを選び手続きを行います。

参考:「Lodge a Non-lodgement advice

タックス・リファウンド(TAX REFUND) / タックス・ペイメント(TAX PAYMENT)


タックス・リターンが完了すると、2~4週間で Notice of Assessment という書類が届きます。これはあなたの申告が受理された旨の通知になります。本人証明書としても使える書類ですから大切に保管してください。

所得税の還付がある場合、申告後2~4週間で指定した銀行口座に振り込まれます。逆に追加徴収がある場合はこのNotice of Assessmentが請求書も兼ねていますので、指示にそって支払をしましょう。

タックス・リターン(Tax Return)のトラブルを避けるために

確定申告の書類は最低4年間保管!

個人のタックス・リターンに問題があった場合、ATOは2~4年間過去に遡って修正や是正勧告を行うことができます。この書類を受け取った人の多くが、申告後1,2年ほど経ってから送られてきたと言っていました。タックス・リターンの控え、申告に使用した書類は最低4年間は保管しておきましょう。

住所変更は確実に!

日本に帰国した後も、該当のタックス・リターンについては責任を負います。ATOに対する住所変更は確実に行っておきましょう。

英語対応に自信がない人は、登録税理士に依頼する!

是正勧告の内容を確認したり、異議を申し立てたりは英語での対応となります。英語での対応に自信のない人は、登録税理士に確定申告を依頼すると、是正勧告に関する対応もしてもらえる場合が多いので安心です(サービス内容については各登録税理士にご確認ください)。

こんな時どうする?

Income StatementまたはPAYG Payment Summaryが入手できない

Income Statementが確認できない場合、雇用主がSingle Touch Payrollを利用していない可能性があります。その場合は直接雇用主からPAYG Payment Summaryを受領しましょう。

Income Statementが確認できず、何らかの理由でPAYG Payment Summaryも受領できない場合(退職の際にもめごとがあった、雇用主が廃業した等)は、タックス・リターンを登録税理士に依頼しましょう。登録税理士は国税局のデータベースにアクセスし、依頼があった顧客のデータを調べることができます。ただし、キャッシュジョブなど雇用者が法律で定められている源泉徴収を行っていないためIncome StatementやPAYG Payment Summaryがもらえない場合もあるので注意が必要です。

会計年度の途中で帰国する

タックス・リターンは原則、会計年度が終わる6月30日より後に行います。会計年度の途中で帰国する場合、次のいずれかの方法で申告することになります。
通常の期間内に申告する
オーストラリア国内での手続きと同じです。オンラインでも申告できます。ただし、これによりタックス・リファンド(返戻金)を受け取る予定の方はオーストラリア国内銀行の口座解約について注意が必要です。詳しくは後述の「帰国後にタックス・リターンによる返戻金を受領予定の方」をご確認ください。
早期申請する
会計年度途中での申告は原則認められていません。しかし、申告期間前にオーストラリアを出国し、オーストラリアに戻る予定がない、かつ出国後にオーストラリアでの収入(銀行利息なども含む)がない等の場合は特例として早期申請が認められています。紙ベースでの申告のみで特別な書類も必要になりますので、早期申請が必要な場合は登録税理士へ依頼するのがおすすめです。

タックス・リターン(Tax Return)を忘れていた!

個人でのタックス・リターン申告期限はその年の10月31日までです。登録税理士に依頼する場合は翌年5月15日まで延長可能です。また、申告期限を超えたからといって、もう申告できないというわけではありません。むしろ、一刻も早く申告する必要があります。

現在、移民局とATOは情報の照合を行っており、ビザ取得や入出国記録などからタックス・リターンの未申告が発覚した場合、最大4年まで遡って1年分の申告につき最大A$1,565のペナルティが課されます。実際に、私の周りにも高額のペナルティを支払うことになった人がいます。過去のタックス・リターンを忘れていたという人は放置せずできるだけ早く申告しましょう。

ATOから是正勧告が来た!

その書面は「是正勧告に対して意義があれば28日以内に対応するように」書かれています。つまり、何もしなければ「国税局のいうとおり」となり、追徴課税されてしまいます。放置せずに内容をよく読んで対応しましょう。

6・7月に帰国する/した方

6月中に仕事を辞めたがお給料を7月に入ってから受領した場合
タックス・リターンの計算が働いた期間ではなく、給与の支払日ベースで行われるため、翌年もタックス・リターンが必要です。

例えば、2024年6月25日に退職⇒2024年7月5日に最後の給与を受領した場合、2023/2024年度のタックス・リターンと2024/2025年度のタックス・リターンの両方が必要になります。
労働可能なビザでオーストラリアに滞在し7月に出国する場合
7月に受け取った給与がなくても翌年Non-lodgement adviceの提出要です(もしくは前年度のタックス・リターン/Non-lodgement adviceにて翌年以降タックス・リターン不要に✓する)。就労可能な状態でオーストラリアにいたというのがポイントとなります。

例えば、学生ビザ保有者が2024年6月20日に退職し、2024年6月30日に最後の給与を受領、2024年7月15日に出国した場合、2023/2024年度のタックス・リターンと2024/2025年度のNon-lodgement adviceの提出が必要になります。

近年、ATO(Austrslian Taxation Office: 国税局)は移民局が管理するビザや出入国のデータとマッチングし、タックス・リターン等の監視を強化しています。

※ワーキングホリデービザ保有者は、一定の条件を満たすと、タックス・リターン及びNon-Lodgement-Adviceの提出は不要となっています。

帰国したら終わりではなく、必要な公的手続きをすべて終わらせるまでが留学やワーキングホリデーだと思って、「いつ」「どの」手続きが必要なのかしっかり確認して忘れずに手続きしましょう。

帰国後にタックス・リターンによる返戻金を受領予定の方

タックス・リターンにて返戻金を受け取る場合、オーストラリア国内銀行の本人名義の口座もしくは小切手での受取になります。2024年7月現在、発行者についての情報を得るのが難しいことから、日本国内の金融機関のほとんどが海外発行小切手の換金手続きを終了しています。現時点ではSMBC信託銀行にて取り扱いがあるようですが、2024年12月まででオーストラリア・ドルの取り扱いは終了する旨のアナウンスが出ています。小切手の有効期限内に渡豪する予定のある方は、オーストラリアの銀行で換金することが可能ですが、それ以外の方は、すべての手続きが完了するまでオーストラリア国内銀行の口座解約を待つ、もしくは海外送金可能な登録税理士に手続きを依頼することをおすすめします。

オーストラリアの主要4銀行のオーストラリア国外からの口座解約方法については「帰国の準備」をご参照ください。

日本で収入を得ている方

働き方が多様化し、「フルリーモートで日本の会社の有給インターンシップをした」「日本の会社とフリーランス契約して留学中も働いている」「YouTubeを含むSNSで稼いでいる」というお客様の話も聞くようになりました。

このような場合について、日本での確定申告が必要か、オーストラリアでまとめて申告できるのかなどの質問をいただきますが、それぞれの状況(「日本の税法上の居住者か非居住者か」「オーストラリアの税法上の居住者か非居住者か」「収入の金額」「収入源(働き方)」など)によって異なります。個別の事案に対する回答はできかねますので、税理士等へご相談ください。

英語での問い合わせに不安がある方

ATOを含むオーストラリアの公的機関への問い合わせの際、英語に不安のある方は、通訳サービス(TIS National Services)を利用することができます。下記へ電話すると、日本語通訳者と問い合わせ機関の担当者との3者通話になります。

①TIS National Servicesへ電話する。

オーストラリア国内から:13 14 50
オーストラリア国外から:+61 3 9268 8332

②音声で「利用したい言語を言ってください」と指示があるので、「Japanese」と答える。

③音声で下記のようなやりとり(英語)のあと、日本語通訳者で繋いでもらえます。

「Japaneseですね。間違いないですか?」「Yes」

「以前利用したり、Migration Agentとして登録したことがありますか?」「No」

「オペレーターにつなぐのでお待ち下さい」

④日本語通訳者へタックス・リターンの件でATOに繋いでほしい旨伝える。

 

※備考※
・このページは2024年7月現在の情報に基づいています。
・オーストラリア留学センターではタックス・リターンのお手伝いはしておりません。オンライン申請の仕方などについても回答致しかねます。ご不明な点は、ATOもしくは登録税理士へご相談ください。
・オーストラリア留学センターでは銀行口座解約の代行等は行っておりません。また、同手続きについての詳細などについてのお問い合わせには回答致しかねます。ご不明な点は、各銀行へご相談ください。