【体験談】短期集中!4週間の児童英語教授法コース(ETYL/TECSOL)を受講して

松林未紗さん 2020年2月17日


日本の中高一貫校にて3年間英語教員として働かれていた未紗さん。
ご自身のキャリアアップのためにInternational House Sydney(インターナショナルハウスシドニー)校の児童英語教授法コース(ETYL)へ通われ、4週間の授業と実習を通して感じたこと、学んだことについて語って下さいました。




受講を決意したきっかけ

以前から留学することに興味があったものの、大学時代は教員免許を取得することに精一杯で、留学できずにいました。
そして大学卒業後、英語教員として働き始めると、生徒たちから留学の相談を受ける機会が多くあり、具体的なアドバイスができずにいたことや、将来的に小学校でも英語を教えられるようになりたいと思うようになり、児童英語教授法コース(ETYL)を受講するためにこのワーホリを決意しました。

そして、4年前に大学の卒業旅行でシドニーに来た時の“住みやすそうな都市”という印象から、渡航先をシドニーに決めました。実際にシドニーに住んでみて、都会的で住みやすく、仕事のチャンスも多いので、学校卒業後もシドニーに滞在していました。




国籍バランスと生徒のバックグラウンドについて

入学時期によって変動はあるものの、クラスは20人前後で構成されていて、クラスメイトの8割が日本人でした。次いで韓国人、中国人、ベトナム人などのアジア人が多く、その他ニューカレドニア人、メキシコ人がいました。

受講している生徒のバックグラウンドは教員に限らず、将来教員を目指す大学生や、全く別の職業の人など様々で、年齢層は大学生から60歳代くらいまでと幅広かったです。




課題について

コース中に出された課題は以下の2種類でした。

・担任の先生が生徒の英語力やバックグラウンドを把握するため、担当の先生宛に英語で自己紹介の手紙を書く。(1週目のみ)

・模擬授業のレッスンプランを練る。授業のテーマ・目的に沿って、授業の時間配分、授業内容、生徒へのアプローチの仕方等をペアで企画する。(毎週)

課題は想像していたより多くなかったですが、模擬授業のレッスンプラン作成はペアの人との共同作業になるので、お互いが時間を合わせて、意見を出し合いレッスンプランを立てることが必要です。





オプション実習について

児童英語教授法コース(ETYL)の場合は実習はカリキュラムに含まれていませんが、オプションでJ-SHINEを受講する生徒の実習先である現地のチャイルドケアセンターへ実習に行くことが可能だったので、参加しました。

実習時間は9:00〜15:00で、そのうち約1時間の昼休憩が含まれます。

J-SHINEの実習先であるチャイルドケアセンターは、園児の年齢が2歳から5歳となっていて、児童英語教授法コースで学んだ児童対象年齢(4歳から12歳)よりも幼いため、授業で学んだ通りには行きません。児童英語教授法コースを経て実習へ行く場合は、その点の理解した上で実習に臨むことが必要です。

例えば、静かに座っていることや、真っ直ぐな線を書くことすら難しい2〜3歳の園児へは、ゆっくりとシンプルな言い回しで話しかけたり、文字を書く練習よりも折り紙をしたりと、子どもたちに少しでも興味を持って楽しんでもらえるように授業内容を工夫しました。
2週間の実習を通して、現地のチャイルドケアの実際を見ることができ、普段接することのできない年齢の子どもたちと関わることができたのはとても良い経験になりました。




コース中に苦労したこと

二人一組のペアワークが多いので、相手の意見も尊重した上で、英語の授業を一から作っていく必要があり、その点は一人で黙々と課題に取り組むよりも大変だと思います。

国籍やその人のキャラクターによって授業のスタンスが違い、淡々と授業を進める人もいれば、アクティブな雰囲気で授業を進めていく人もいるので、お互いの意見を出来るだけすり合わせていく必要があります。

また、入学時期が異なる生徒同士でペアを組むことになった際、特に卒業間近の4週目の生徒と、入学したばかりの1週目の生徒がペアになると、4週目の生徒が1週目の生徒に模擬授業のプランニングについてより詳しく説明したりと、ペア同士のコミュニケーションがとても大切になってきます。
国籍や文化、キャリアの違いをお互いが理解し合って一つのものを完成させるのは簡単なことではないですが、模擬授業を終了した後の達成感はそれを超えるものがありました。

他にも、読み聞かせの模擬授業のプランニングは、ただ児童に絵本を読むだけでなく、予めストーリーを英語で覚え、さらにパペット人形などを用いて児童の興味を惹きつけながら、同じフレーズを繰り返し、児童に反復してもらうことでそのフレーズを覚えさせるという目的があるので、準備にかなりの時間を要します。

私は読み聞かせの絵本に「ジャックと豆の木」を選んだのですが、もともとのストーリーが長いので、ストーリーを300語以内に要約することから始まり、途中で飽きないようにストーリの途中に単語のクイズを交え、そのクイズに使用する絵カードを作成するなど、準備にとても時間がかかりました。





印象に残っていること

公立小学校へ1日見学に行った際、児童一人ひとりがとても積極的だったことが印象的でした。
先生の投げかけた質問に対し、児童のほぼ全員が手を上げて、先生に指してもらうのが待ちきれないほどの積極性でした。

また、児童の中には集中力が続かずに途中からぼーっとし始めてしまう子どももいたのですが、先生が「Put on your thinking cap!」と言って児童全員を授業に参加させるよう促すやりとりがあったり、日本の学校ではあまり見られない光景だったので、とても新鮮でした。




コース受講を検討している方へメッセージ

このコースでは児童を対象にした授業方法について学ぶので、英語のスキルはもちろん、どうしたら子どもたちに興味を持ってもらえるか、効果的なレッスンができるのかを常に考える必要があります。

そのため、時には大げさなリアクションをしてみたり、大きな声で歌を歌ったりする必要があるので、子どもが好きで、子どもと一緒に楽しむという気持ちがベースにないと辛いかもしれません。

また、毎週木曜日と金曜日には模擬授業があるので、週の半ばくらいからその準備で忙しく、平均して2〜3時間くらいは放課後に残って準備をしていたので、平日の午後にアルバイトをすることは個人的にお勧めできません。





日本へ帰国後は小学校の英語教員に

これまでの中学・高校の英語教員の経験を活かしつつ、今回の児童英語教授法コースで学んだことも含め、今後は、小学校にて英語を専門に教える教員になりたいと思っています。

日本の中学校や高校は受験英語を教えることがメインになってしまっていて、そこで基礎が出来ていないと授業について行けずに英語を嫌いになってしまう生徒も多いので、小学生のうちから英語の基礎を作り、英語にたくさん触れて英語そのものをもっと楽しんでもらい、将来的に受験英語に繋げてもらえたら良いなと思います。





児童英語教授法コース(ETYL)について


・週5日間(20時間)の授業を4週間受講。
・4歳〜12歳の子どもたちを対象にした、歌やゲーム、読み聞かせ、クラフト、パペット人形などを用いた英語教授法を学ぶ。
・児童向けのクラスマネージメントに必要なスキルを学ぶ。
・NSW州の小学校見学。
・オプションでローカルのチャイルドケアセンターにて2週間の実習が可能。


コース入学条件


・中級以上の英語力があること
・18歳以上であること


入学にあたり、英語レベルの証明として下記のいずれかのスコア提出が必要です。

・IELTS General 4.5(各バンド4.5以上) または Academic 4.0(各バンド4.0以上)
・TOEIC 500点以上
・TOEFL PBT 400点, TOEFL CBT 97点, TOEFL IBT 32点以上
・Cambridge PET以上
・英検2級以上


タイムテーブル


入学した週によって授業内容は前後しますが、4週間かけて英語の4技能(リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング)の教授法を学びます。





木曜日・金曜日は、月曜日から水曜日のレッスンをもとに、2人1組のペアで教員役となり、児童役のクラスメイトに向けて模擬授業を実施します(Peer Teaching)。
模擬授業の長さは短いもので30分、長いもので50分のものを企画・実践し、終了後にクラスメイトや担当の先生からフィードバックをもらいます。

スタッフより

コースを振り返り、とにかく模擬授業の準備が大変だったとおっしゃっていた未紗さんですが、授業で使用する教材をパソコンで色を塗ったものを印刷するより、手で色を塗ったほうが温かみがあるからと一から手作りされるなど、子どもたちに対する真っ直ぐな気持ちがインタビューを通して伝わってきました。
学校終了後は子どもたちと関わる仕事を選び、シッターや日本語学校の受付として働かれ、オーストラリアでしかできない経験を積極的に探しにいかれる姿勢がとても印象的でした。
これからの未紗さんの益々のご活躍をお祈りしています!