【体験談】日本語教師養成講座で得た知識で、ローカル学校で経験を積む!

梨香さん 2021年8月6日

日本でフリーライターの仕事をされていた梨香さん。もともと言語に興味があったこともあり、メルボルン滞在中に日本語学校「ジャパニージー」で日本語教師養成講座を受講し、日本語教師の資格を取得。10週間の座学と教育実習の合計約3ヶ月のコースを終えてから、今回このプログラムを開始されました。

日本語教師ボランティアに参加を決めた経緯は?

 
海外でも働けるよう手に職をつけたかったので、日本語教師の経験や知識は今後役に立つと考えました。

オーストラリアの日本語学習者数は英語圏では1位で、公立の学校でも日本語の授業があると知りました。日本語教師養成講座では教育実習がありましたが、ジャパニージー内でやるので、生徒は基本、大人です。

そこで、公立の学校では子供にどうやって日本語を教えているのか、オーストラリアの教育現場をみてみたいなと思ったのが参加のきっかけでした。

実際どんなことをやりましたか?

 
私がボランティアを行っていた学校では、7年生と8年生が日本語のクラスが必修で、9年生から12年生までは日本語のクラスが選択であります。メインの先生がいるので、主な仕事はその先生のアシスタントで、私は9年生から12年生を担当しました。

スピーキングテストの対話相手になったり、教材やプレゼンテーションの作成や編集、生徒の提出物の確認や採点などなど。また先生が休みの時には、代わりの先生のアシスタントとして新しい文法を教えたり、先生から与えられた課題の進行の手伝いをしました。

毎週火曜に『文化曜日』という日本のカルチャーを紹介する時間が15分ほどあり、こちらも私が9週間担当しました。

文化曜日
文化曜日では、教科書の内容に沿ったプレゼンテーションを作っていました。
事前に先生から「こういう感じのテーマでお願いします」と依頼が来るので、それを基にトピックスを選びます。

たとえば日本のファミレス、東京の観光スポット、日本の部活、日本の学校のイベント、日本発のテクノロジー、ゆるきゃら、等を紹介しました。

学年ごとに作り分けるので1週間で2-3個作り、クラスごとに発表していました。発表は日本語メインで、時々英語をいれて説明します。私の発表後に先生からのフォローもありました。

できるだけ生徒が楽しめるように、私が一方的に話すだけでなく質問をいれて発言させる機会を作ったり、おもしろそうな動画を流したりなど、自分なりに工夫をしてプレゼンテーションを作っていました。

特別授業を90分自分で行う
授業中はクラスを回って、生徒がやっていることをフォローアップします。
ある時、祝日の関係で授業が1コマ空くので、先生から「90分ひとりで授業をしてみないか?」と提案され、私が特別授業を行うことになりました。先生は教室内に居ますが、基本見ているだけで、授業を仕切るのは私です。

その学期の授業で教えた内容をカバーするのが条件で、授業の進め方は自由。自分で何をするか考えることになりました。

クラスには約20人程居たので、日本語養成講座の教育実習や自分が通っていた英語学校からヒントを得て、全員が楽しんでもらえるようなゲームを選びました。行ったのはこの3つです。

・ボキャブラリービンゴ
予め用意していた日本語の単語の中から生徒に選んでもらい、白紙のビンゴ用紙に書いてもらう。その後、ビンゴと共に答え合わせとして、その単語の意味を英語で答えてもらう。

・温泉マナークイズ
温泉の動画を見てもらった後に、その学期に使った文法を使って回答してもらう。

・ジェスチャーゲーム
生徒をグループに分け、そのうちの1人が紙を引き、その紙に書かれた文章をジェスチャーで表し、残りのメンバーが文章を当てる。例えば『暑いですから、水をのみます』など。



意識していたことや、気づきはありましたか?

 
笑顔で接することや、名前を覚えること、授業中に「大丈夫?」などと一言声をかける事を心がけていました。

廊下など、授業以外ですれ違ったときにも挨拶をして、「おぼえているよ」というリアクションをすることは、コミュニケーションを良くする意味でもとても有効に思えました。

このプログラムは、日本語教師の経験や知識がなくても参加できますが、日本語がネイティブであったとしても、言葉の成り立ちや文法のルール、例えば「動詞の3グループ」「て形」などを理解していないので、授業がわからなかったり、生徒から質問を受けた時に、質問の意味がわからない場合も出てくるかもしれません。

私は約3ヶ月の日本語教師養成講座で基礎知識があったので、その点に関しては先に勉強しておいてよかったな、と思いました。

どんなことが印象に残ってますか?

 
子どもたちはエネルギーにあふれていて、テスト前の追い込みもみんな一生懸命です。たった数日で見違えるほど成長していて、さすが10代だと感心しました。

中には、テストが思ったように出来なくて泣いちゃう子もいて、とにかくみんなピュアでかわいかったです。この学校では他の言語も選択できますが、日本語を選ぶ子は比較的まじめな子が多い気がしました。

※最終日には、『Thank youカード』にみんなメッセージを書いて送ってくれました。

実際にオーストラリアの学校現場を見たことで、日本との違いや、ローカルの学校の仕組みなども理解でき、とても勉強になりました。

例えばオーストラリアの学校は10週間で1学期となり、その後、2週間程度のホリデーがあります。他にも、生徒たちはタブレットやノートパソコンを持参して、授業でもオンライン学習ツールを取り入れたり、授業で配布したプリントのデータはクラウドサービスに保存してあるなど、ITが活用されていました。

先生と生徒のやりとりもメールで行います。また、オーストラリアは本当に多国籍な環境で、学校でも様々な背景を持った子どもたちが、みんな一緒に勉強しています。それを見たときには感動しましたし、英語だけでなく2−3ヶ国語も話せる子がいることも興味深かったです。

日本とは違う環境を自分の目でみて、感じることができ、本当にいい経験になりました。

今回の経験を基に、日本に帰ってから副業やボランティアで日本語を教えたり、いつかまた海外に行って日本語教師として働ける機会もあればいいな、と思っています。


※学校でお世話になった先生を含めた日本語教師として活躍中の皆さんとも、プログラム以外の場でも交流が持てました!